-人生を楽しむための延長線上にアートがあるのですね。
YASU:もともと子供のころから絵は好きで個人的に描いてはいたんです。それがエアブラシになった途端、いろんなところで脚光を浴びる機会があって、急に天才風に持ち上げられ始めて。でも、僕のスタイルや基本的な姿勢は何も変わっていないので、いろいろな賞とかも最初バーッともらったんですけど、それはビジネスでやっていく上で必要かなと思って持っているだけで。今は生徒さんのプロデュースに回って、コンクールには一切出さないです。入選して喜んでいる姿を見るのが「楽しい」から。 だから、絶対エアブラシがないと生きていけないかっていうとそうではないし、ペンでも鉛筆でもいいんですよ。僕が「楽しむ」っていうことは、最低限自分のテリトリーの人たちも一緒に楽しむことで、それには手っ取り早いのはエアブラシっていうだけなんで、将来もしかしたらそのツールは変わるかもしれないです。とにかく「楽しむ」ことが僕は好きなんで、楽しくなかったらその場所にはなるべく行かないし、それが通用するのもこの仕事だからだし。唯一無二で僕しかできないから、どれをチョイスするかは僕の自由にさせてもらっています。
-チョイスされたお仕事の中で、7月に中国の書家・孫琦氏とのコラボアート展があり、鳥取市で開催されて話題になりました。このコラボが実現するまでにどんな経緯があったのでしょうか?
YASU:中国で僕が作品展をやったときに、孫さんがテレビで見たらしくて作品展に足を運んでくれて。一緒にぜひ何かをやりたいと言ってくださったんです。ただ、僕は全く知らなかったので「この人何なんだろ?」って思って(笑)そうしたら「この人中国で有名な書家の先生だよ!」って教えてもらって(笑)そうなんだ、それはすごい書を書くん人だろうな~と思っていたら、その日孫さんが食事に呼んでくださったので、少し話をしてみたんです。「自分は有名になりたいわけじゃないし、普段は子供たちと遊んだり、こんな活動をしていますから(一緒に何かをやるには)方向性が違うかもしれないよ?」って言ったら「いや、ぜひそれがいい!」って言ってくださって。「じゃあ、何かやってみましょう」って、軽いノリ。軽いノリです(笑)
-書家の先生ってそういう「軽いノリ」のイメージなかったですけど、意外ですね。
YASU:実際、孫さんは書の世界ではいっぱい肩書があってすごい人なのは確かなんですよ。ところが、一人のアーティストとして見たときに、勉強家だし、偉ぶったところもなくて。孫さんに「何描けばいいの?」ってきいたら、「YASUは好きなの描けよ~」って、「え、ほんと~?」みたいな、そんな軽いノリですすんでいって、細かい打ち合わせなんかないんですよ(笑)「この辺に字をのっけてくれるかな~」ってイメージで作品を描いて。今回、国交正常化45周年のイベントで、少し政治色が強い企画だったのだけど、あれ以来孫さんとはまだ交流が続いるので、次は政治とは関係なく、アートを通して本当の意味で人間同士つながることに役立てるような活動をやっていこうと企画を進めています。